2024/06/04 09:54

私たちが普段楽しむコーヒーの豆は99%が外国産ですが、沖縄県では亜熱帯気候に属する特徴を生かした国産のコーヒー豆栽培が行われています。そんな沖縄県久米島のコーヒー豆ブランド確立を目的に、2021年10月に農事組合法人「久米島コーヒー生産組合」が発足しました。久米島産の希少な国産コーヒーづくりについての思いを、組合の理事である安里順(あさと・じゅん)さんに伺いました。
「久米島はコーヒーで有名なハワイと同様に赤土の土壌だというのを聞いたことがあり、成長は遅いけどスクスクと育つのでいけるんじゃないかと思いました」と、安里さんは自分の畑でのコーヒー栽培のきっかけを話します。
海外のコーヒーベルトは高い山で栽培されているため温暖差で豆に糖度が加わりますが、久米島のコーヒー畑は標高100m程度。久米島コーヒーは、そんな地形的に不利な条件も、コーヒーの実から種子を取り出し発酵を行うなどの精製技術で味を高めているとともに、無農薬栽培や、赤く熟した豆を厳選して手摘みで収穫するなど手間も惜しみません。
その結果、「フルーティーで飲みやすい」と評判を呼び、2022年にコーヒー品質協会が世界流通量の5%しか存在しない高品質な豆に与える「スペシャルティコーヒー」の認証も受けました。「栽培から焙煎加工まで組合ですべて取り組んでいるのは、ほかの組織にはないと思います。それが世界からも認められてうれしいです」と、安里さん。
毎年9月〜10月ごろにはコーヒー豆の収穫時期に入り、忙しい日々を過ごす安里さんは、出荷できない豆を自家消費してコーヒーを楽しんでいるといいます。
筆者の「一番好きなコーヒーはなんですか?」という問いに、「コーヒーもいろいろ飲みますが、やはり自分の豆が一番おいしいですね」と、笑顔で応えてくれました。